
A様の弟様は施設暮らしをしていたものの、施設になじめず「ひとりでアパート暮らしをしたい」とA様に伝えます。
しかし、兄のA様から見てもとてもひとりで暮らせる状態ではありません。
施設暮らしを嫌がる弟様の新しい入居先をどのようにして探したのか、A様にお話をお聞きしました。
■入居前にどんなことに困っていましたか?
ひとり暮らしが困難な弟の生活をどうしようか、と困っていました。
弟はずっと独身でひとり暮らしだったんです。1年前にちょっと具合が悪くなって、本人がかかりつけの病院で診察を受けたところ「うちでは診られない」と言われ、東京の病院に緊急搬送されたそうなんです。
そこで、わたしの方に「入院の許可をお願いします」と病院から電話がかかってきたのですが、わたしどもも状況がわからず、かといってすぐに行ける距離ではなかったのでとりあえず承諾しました。
入院中、弟が病院で「死にたい」と言いだしたようで、死のうとした形跡もあったようです。
わたしと弟はほとんど連絡をとっていなかったので、わたしは弟が元気だったときの記憶しかないんですよ。会いにいってみたら、弟は手押し車につかまりながらしか歩けないような状態でした。
どうやら、弟はひとりで暮らしていた間に、本人も気づかないうちに腰を圧迫骨折していた形跡があったようです。また、軽い脳梗塞にもなっていたようで、病院では認知症の症状も少しあると説明されました。
今後の話をすると弟は「アパートに帰って、元通りの生活をする」と言うのですが、ひとり暮らしなんてとても無理ですよね。かといって、わたしが介護して一緒に暮らすのも難しいですから。
施設暮らしをした方がいいと思って、偶然わたしが散歩中に見つけた施設に話を聞きにいって、そこに入居させてもらえることになったんです。その施設は、整形外科とも提携していて、リハビリもしてくれるということだったので、弟の足腰も回復して少しは自由に歩けるようになるかな、と思っていました。
ところが、入居してみたら足や腰の治療などはほとんどなかったみたいで。それでは足腰がよくなることはないですよね。弟も施設になじめなかったようで「ここはもういやだ、アパートを探してくれ」なんて言うんです。
でも、弟の姿を見ているとトイレやお風呂に行く姿なんて怖くて見ていられないような動きなんですよね。ひとりでアパート暮らしなんてとても無理だから、と弟に話しながら「これからどうしようか」と困っていました。
■そこで、どう行動されましたか?
弟が暮らしていた施設の相談員の方が「山梨老人ホーム紹介センター」を紹介してくださいました。
そこで担当の方とお会いして、弟の状況や金銭的な話をして「お願いします」ということで、施設を探してもらいました。
■山梨老人ホーム紹介センターを利用されてよかった点はどのようなことがありますか?
弟は最初「あれがいや」「これがいや」と渋っていたんですよ。
だけど最近は本人が施設を気に入っているので、いいところを紹介してもらえたな、と思っています。弟本人が納得しているんだから、よかったですよ。
最初は、安全のために窓が少ししか開かないことにも「息苦しくなるからいやだ」と言ったり「2階はいやだ、1階がいい」と言ったり。
気に入らないことがあるとわたしに電話をかけてきていたんですけども、最近は一切なく、なにも言ってこないんですよ。
■入居後の生活はどうですか?
弟が施設を気に入っているのは、慣れてきたというのもあると思いますが、対応がいいからみたいです。
弟の部屋にトイレがあるのですが、トイレに行くまでの壁に手すりがなかったんですよ。弟はすぐつまずいて足をひっかけて転んでひざや頭をぶつけることもあったようですが、すぐにしっかりとした手すりを施設の方がつけてくださったんです。
こちらが注文したわけではなく対処してくれたことで、弟は施設の悪いところじゃなくていいところにも目がいくようになったのかなと思います。
■改善されたことやよかったことはありますか?
いつ面会に行っても、弟が明るいんですよ。沈んでいるようなことがなくて、元気でいいなと思いますね。
ただ弟から「これを持ってきて」と電話で注文があるのですが、認知症からくる症状なのか、本人がそれを忘れちゃうんですよね。
だんだんとそういう症状がひどくなるのかな、という心配はありますが、弟の明るい状態が続いているのがよかったです。以前のような「死にたい」という兆候もないようですし。
施設では食堂で何人かと食事をしたり、みんなでテレビを見たりして交流がありますよね。ひとり暮らしのときはずっとひとりだったから、状況的によくなかったんだな、と思います。
面会の度に「また来てね」と言ったり、わたしの妻を気づかって「お姉さんによろしくね!」と言ってくれたりして、ご機嫌に過ごしてくれています。